みなさん、こんにちは。プロ野球読売巨人軍スペイン語通訳の加藤直樹です。
いよいよプロ野球シーズンも開幕しました。オフシーズンやキャンプ期間とはまた違いチーム内の雰囲気は一転、一戦ごとに緊張感が走り、通訳もチームの一員として選手とともに戦う日々が始まります。今回のコラムではシーズン中の通訳の業務の流れについて紹介したいと思います。
まず初めに、プロ野球選手は打者、先発投手、中継ぎ投手で役割が違い、ポジションによって練習や試合での動きが異なります。先発投手の外国人選手を担当したケースの一例を挙げてみます。
■12:30 /球場入り
担当選手が到着する時間を目安に球場入り。選手の到着を確認するとともに、その日のスケジュールや連絡事項を伝達します。
■13:00 /コンディショニング
担当選手がウェート場でフィジカルチェックやストレッチなどコンディションニングをするのに同行し、トレーナーさんの指導などを通訳します。
■14:00 /投手ミーティング・投手練習開始
ミーティングで前日の試合の反省や本日の試合の連絡事項を通訳。また、投手陣はバッティング練習をしている外野で練習するため、選手を守りながら打球捕球もします。ときには必要に応じて選手のキャッチボール相手をすることもあります。
■15:30 /投手練習終了、ロッカー引き上げ
選手とともに食事を摂るなど、通訳も少し休憩。空いた時間を利用し道具の発注やメール返信などもこのときにします。
■16:20 /試合前マッサージ
選手の治療してほしい箇所など要望を担当のトレーナーさんに通訳し、試合に向けて万全のコンディションで臨めるようサポートします。
■16:50 /試合前ミーティング
データ班の相手チームに関する分析を通訳します。
■17:30 /試合に向けてウォーミングアップ・投球練習
サインなどの試合前最終確認をコーチ、捕手、外国人選手で確認します。
■18:00 /試合開始
試合中はその都度投手コーチや捕手とのコミュニケーション通訳。通訳個人としてもベンチから選手を鼓舞します。
■21:00 /試合終了(勝利投手でヒーロー)
ヒーローに選ばれたときは選手と一緒にお立ち台に上がり、インタビューを通訳します。
■22:00 記者対応・帰宅
着替えを済ませて選手とともにロッカーを出ると新聞記者の方々が待っていますので、球場を出る前に対応します。これが終わってようやく通訳も帰路につきます。
いかがでしょうか。このように、選手とは基本的に常に行動をともにし、いつでも通訳ができるように準備します。その他にも選手がケガをした場合は病院に同行したり、ときには選手家族の病院やこどもの学校の手配を依頼されたりすることもあります。
通訳という仕事は医療、経済、観光など専門分野がそれぞれあるわけですが、スポーツ通訳には幅広い分野で語彙力に精通しておくことが求められると言えるでしょう。スポーツの知識、語彙はもちろんですが、普段からいろいろな分野に興味を持って語学向上に励む姿勢は欠かせません。毎日試合を戦い抜く選手に寄り添う通訳自身も、向上心を持って日々業務に向き合っていきたい、私自身そのように考えて過ごすようにしています。
今日のコラムも皆さんの参考になれば幸いです。
それではまた次回お会いしましょう。