COLUMN

2024.02.29

選手の出身地を知ることは通訳への近道?

  • #通訳翻訳コラム
選手の出身地を知ることは通訳への近道?

みなさん、こんにちは。プロ野球読売巨人軍スペイン語通訳の加藤直樹です。

いよいよ今シーズンもプロ野球開幕が近づいてきました。各球団とも優勝を狙うに当たって外国人選手の活躍が欠かせないのは巨人軍も例外ではなく、この時期は選手の受け入れで通訳業務も忙しくなってきます。今年の巨人軍には計9名の外国人選手が所属しており、選手を出身国別で見てみると、アメリカ2人、ドミニカ共和国4人、ベネズエラ2人、パナマ1人。言語で分けてみると英語2人、スペイン語7名の陣容です。

さて、加藤が通訳するスペイン語の国は3カ国ありますが、しかし一方で言語としては同じでも、それぞれ国が違えば日本の方言と同じように訛りやその国独特の表現があります。前回コラムでお伝えしましたが、通訳成り立ての頃はこの「訛り(アクセント)」に苦労しました。一度スペイン語を覚えたらどこでも通じる、ということはなく、身をもってそれを体験したのが駆け出しの頃の自分でした。

私のスペイン語のベースは中米のコスタリカという国ですが、通訳一年目に担当したのはドミニカ共和国出身の選手で、スペイン語の聞こえ方が全く違うんです。一つ例を挙げるとドミニカのスペイン語は「S」の発音を省く傾向があり、例えば「コスタリカ(Costa Rica)」が「コタリカ」になったり、数字の2を表す「ドス(dos)」を「ド」と発音したりします。こういう事前知識があればもっと楽だっただろうなと今になって実感します。

このように、通訳をする現場にいる外国人の出身国やその国の言語の特徴を知るということは通訳を目指す上でとても重要です。例えばプロ野球スペイン語通訳であれば、出身国として多いドミニカ共和国やキューバのスペイン語に慣れておくことはとても有効ですし、英語であればイギリスではなくやはりアメリカ英語を習得しておく方がプロ野球現場の業務には直結します。もし、具体的にどういった種目で通訳をされたいのか決まっているのであれば、そこから一歩進んで、その競技の選手の出身国を調べて、その選手の国の言語に特化して語学力を磨いていくのもいいかもしれません。

今回を含め2回にわたり「訛り(アクセント)」についてお話をしました。訛りを覚えることは円滑なコミュニケーションはもちろん、親近感を生み出し、選手との距離感もグッと縮めてくれます。みなさんの勉強に参考になれば幸いです。それではまた次回お会いしましょう。

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