COLUMN

2024.12.12

プロ野球通訳のシーズンオフ(後編)

  • #通訳翻訳コラム
プロ野球通訳のシーズンオフ(後編)

みなさんこんにちは。読売巨人軍スペイン語通訳の加藤直樹です。

プロ野球はオフシーズンと言われる試合のない期間に入り、選手は各々がそれぞれの国、場所、方法でトレーニングを続けます。オフ期間を練習せずに過ごしてしまうと、筋力や体力が低下し来季に悪影響を及ぼしてしまうことをアスリートである選手たちは知っていますので、シーズン中よりも厳しいトレーニングに取り組む姿も珍しくありません。通訳者である私にとって語学も同様で、外国人選手がいないからといって2ヶ月、3ヶ月の間スペイン語を使わずにいると通訳のために必要な語彙力、表現力、そして訳出の速さが衰えてしまいます。特にシーズン前の重要なキャンプの時期は新チーム発足に当たり多くのミーティングや各報道機関の質問など通訳としてフル回転が求められます。このときにしっかりと心とともに頭も準備ができた状態で臨めるように語学のブラッシュアップは欠かせません。このコラムでは私なりの学習継続の方法をいくつか紹介したいと思います。
 
 
◾️ニュースをスペイン語で読む
日常的に新聞やヤフーニュースなどネット記事を購読されている方も多いと思います。私もヤフーはよく閲覧しますが、加えてBBCやNHKWORLDのスペイン語での記事も日常的に読むようにしています。とりわけNHKはポッドキャストで音声が聞けてさらに原稿も読めるので、リスニングの後に聞き取れなかった単語や表現を確認することができるのが便利です。
 
サイト:BBC、NHKWORLD
 
 
◾️You Tube、Spotify
現在は多くの方の情報源の主流となっているYouTubeやSpotifyですが語学学習でもとても便利なツールですよね。上述したニュース系はもちろんですが、環境問題や各国の移民政策、テクノロジー、AI、メンタルヘルスなどなど様々な時事問題を扱うスペイン語動画を視聴するようにしています。
 
チャンネル:Apredemos Juntos、BBC、DW Documental、euro news、Visual Politic
 
 
◾️Netflix
語学学習者にとってNetflixは本当に便利なツールで、スペイン語を字幕にしたり音声をスペイン語で日本語字幕にしたり、リスニングなのか翻訳の仕方なのかその時々で強化したい語学のポイントによって設定を変更することができます。また、第二外国語として語学を学ぶ時に一番難しいことの一つがスラングと呼ばれる表現で、いわゆる辞書などには載っていない俗語や口語表現です。なかなかテキストやニュースなどフォーマルな媒体では聞くことができない一方、映画やドラマではスラングが溢れていますので、聞き取れなくても字幕で確認できるNetfrixは重宝します。
 
ドラマや映画:ペーパーハウス、ナルコス、パルピト、エリート
 
 
◾️読書
語彙力や表現力を養う意味では読書もおすすめです。今の時代はスペイン語でもデジタル書籍で購入ができますので、AmazonのKindleで習慣的に読書もしています。特に読書含めて上述の方法は読んだり観たり、聞いたりとインプットが主流になるので、読書する際に誰もいないところであれば声に出して音読するように意識しています。発音やスペイン語の舌の使い方を忘れないことが目的です。
 
書籍:百年の孤独(ガルシア・マルケス)、日本人の恋人(イサベラ・アジェンデ)
 
 
私のような第二外国語を扱う通訳者にとって、語学のブラッシュアップに終わりはないと感じていますし、シーズン中も通訳をした後に、「他の表現がよかったな」、「訳出を間違えたな」と反省することが多々あります。選手がオフシーズンにしっかりと練習をして来シーズンに備えるのと同じく、通訳者である私もさらに質の高い通訳ができるように、この時期を有効に活用し過ごしたいと思っています。
 
今日のコラムの内容も皆さんの参考になれば幸いです。
それではまた次回お会いしましょう。

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