COLUMN

2018.11.02

経験を積んでも初心に帰ることは大切だと思います。準備も含めて毎回すべてを出し切る気持ちで臨むことが良い結果と充実感をもたらすのではないでしょうか。

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経験を積んでも初心に帰ることは大切だと思います。準備も含めて毎回すべてを出し切る気持ちで臨むことが良い結果と充実感をもたらすのではないでしょうか。

放送・会議通訳、翻訳のほか、最近では大学の非常勤講師と幅広く活躍されている畑上雅朗(はたがみ・まさあき)さんにお話を伺いました。

仕事の典型的な一日の流れを教えてください

放送通訳にも従事している関係上、典型的な一日を説明するのは難しく、とても不規則です。朝4時前に起きる日や、帰宅が午前2時前になることもあります。

通訳の仕事にやりがいを感じるのはどのような時ですか?

通訳は会議の主催者や参加者からみれば、できて当たり前の存在です。それでも、会議の司会者が「この方たち(通訳)がいなければ会議は成り立ちませんでした」など参加者に拍手を促して下さったときは、嬉しいし感謝の気持ちでいっぱいになりました。

自分の成長を実感したエピソードがあれば教えてください

キャリアの浅いころは、誤訳を指摘されたりすると頭が真っ白になって一気に通訳が崩れてしまい、終わったら逃げるように帰宅していましたが、年を重ねると神経がずぶとくなるのか、平然を装うことができるようになりました。

印象に残った通訳の仕事はありますか

この原稿を執筆中の今日がたまたま9月11日なので触れることにします。ちょうど17年前のこの日、私は米国発のニュース専門チャンネルで同時通訳中に9・11同時多発テロが発生し、画面が切り替わり、結局そのまま翌朝午前7時まで通訳を続けることになりました。あの衝撃を上回る通訳体験はいまだにありません。

通訳業務で大変なところがあれば教えてください

興味がなく苦手な分野でも、引き受けたからには大量の資料を読みこなさなければならないことです。また仕事の当日、たとえ体調が悪くても休むわけにはいかないことです。

どのような人が向いている仕事だと思いますか

これは自分の反省点でもありますが、あまり細かいことにこだわらず思い切りよく訳せる人が向いているのではないでしょうか。通訳をしている時に自信の持てない場面も勿論ありますが、いちいちそこで訳に苦しんでいる表情が出てしまう人は不利だと思います。

現在の職場の雰囲気について教えてください

吉香からいただくお仕事の一つにテレビ局のレギュラーがあります。私にとっては一つの職場です。できるだけ協力し合おうという雰囲気が吉香チームにはあります。会議通訳は毎回のようにパートナーが変わりますが、レギュラーのお仕事は仲間がいるようで、フリーにとってはありがたいです。

吉香に感じるイメージを教えてください

放送分野が強いことです。私は放送通訳が好きなので、そんなエージェントと出会えたことはとても幸運でした。

吉香の魅力を教えてください

・きちんとした印象の社員の方たち

・支払いが早い(これは結構重要なことです)

・規模では大手でなくても存在感では決して大手にひけをとらない

通訳者として今後の目標があれば教えてください

大学院生や学部生を相手に非常勤で教え始めて、通訳翻訳研究という分野があることを知りました。私が本格的に通訳を目指すきっかけとなった憧れの存在である当時の放送通訳第1人者の方が、今や一流の研究者として活躍されています(もっとも、通訳の実務と研究の両方で大成した方はまだまだ極めて少数派です)。私も早くまともな学術論文が書けるようになるのが新しい目標です。もちろん通訳も頑張らなければならないことは言うまでもありません。

 

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