COLUMN

2024.04.18

プロ野球通訳になったきっかけ

  • #通訳翻訳コラム
プロ野球通訳になったきっかけ

みなさん、こんにちは。プロ野球読売巨人軍スペイン語通訳の加藤直樹です。

いよいよプロ野球シーズンも開幕しました。学生の皆さんや社会人の方々にとっても4月は新しい生活が始まる時期ですね。今回のコラムでは私がプロ野球スペイン語通訳になったきっかけについてお話ししたいと思います。

まず初めに、私が学生のときは英語も話せず、ましてやスペイン語など全く知らず、その当時は読売巨人軍でスペイン語の通訳をするなど夢にも思っていませんでした。その一方で、海外での仕事や国際協力の分野には興味があり、大学を卒業後は海外にも支店のあるスポーツメーカーに入社をしました。

仕事を始めて2年が経過した頃、海外に行きたい思いも強まったこともあり、JICA(国際協力機構)の青年海外協力隊の野球ボランティアに応募するために退職。4度目の受験にてようやく合格、28歳の時に中米コスタリカに派遣されました。現地には野球指導をしながら2年半滞在したのですが、過去にスペイン語の知識はゼロでした。辞書を片手にメモを取りながら、テレビや新聞、ユーチューブを活用したり読書にも励んだりしながら猛勉強。努力が実り、2年経つ頃には国際規格のスペイン語能力試験DELEのB2(英語TOEICに例えると800点くらい?)を取得するまでに上達することができました。(通訳になるためにどれほどの語学力が必要かというテーマについてはまた別の機会にお話したいと思います。)

語学とは別にもう一つ通訳になる大きなきっかけとなったのが、現地指導に役立つだろうと考え開始した、読売巨人軍制作の少年野球指導書「ホップステップジャイアンツ」の日本語からスペイン語への翻訳でした。翻訳の許可を申請するやり取りの中で読売巨人軍と繋がりができたこと、これが後にプロ野球通訳になるための大きな転機となります。

無事に許可を得て翻訳を終えたあとは、同テキストのスペイン語版をコスタリカの野球関係者に配布する目的でセミナーを企画したのですが、翻訳のチェックもしてくださった読売巨人軍の現役スペイン語通訳の方が、現地コスタリカにいらしてくださりました。そこで、日本帰国後にプロ野球通訳にならないかとのお誘いをいただいたんですね。これまでの野球経験と新しく学んだスペイン語、そして学生時代から目標にしていた海外との繋がりが実現できると思い、プロ野球通訳になる道を選択しました。事前にコスタリカで私のスペイン語力を確認していただいていたこともあって、帰国後は当時の巨人軍国際部部長との面接を経て正式に採用となりました。

このように、語学ができることに加えて、プロ野球業界と何らかの繋がりがあるとプロ野球通訳になるチャンスが広がるというのが一つあります。他球団でも実際に人づてに紹介されて球団通訳となられる方の話もよく聞きます。そしてもう一つは、チーム通訳の公募から採用されるケースです。毎年シーズンが終わる10月後半から11月になると通訳を公募する球団がありますので、シーズンオフの時期に募集内容や詳細をチェックしてみてください。

私の場合はスペイン語と野球経験に加えて、運良くできた巨人軍との繋がりのおかげでプロ野球通訳になることができました。語学スキルはもちろん、通訳を目指す業界とどう繋がるか、そういったアンテナを張っておくことも、皆さんの目標への近道となるかもしれません。私の経験が皆さんの参考になれば幸いです。

それではまた次回お会いしましょう。

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