COLUMN

2024.02.15

通訳必須のメッセージアプリとその使い方

  • #通訳翻訳コラム
通訳必須のメッセージアプリとその使い方

皆さん、はじめまして。プロ野球読売巨人軍スペイン語通訳の加藤直樹です。

この度、株式会社吉香のホームページを通じて、スポーツ通訳、とりわけプロ野球現場における業務・エピソードについてお話をさせていただくこととなりました。スポーツ通訳ならではの出来事ややりがい、これから目指したいと思っている方の役に立つ情報など紹介をしながら、少しでも多くの方がスポーツ通訳という職業に興味を持っていただけたらと思っていますので、今後ともこちらのコラムを覗いていただけたら幸いです。

さて、第一回目の記事は通訳として欠かせないアイテムについての紹介です。プロ野球は例年10月下旬から11月上旬に全ての日程を終え、多くの外国人選手も母国に帰国しますが、通訳の業務は続きます。例えば、翌年来日用の在留資格取得手続きや来季用のウェア、道具の手配など。そのため、選手とは密に連絡を取れる状態でいる必要があるのですが、そのために便利なのが “WhatsApp” というスマホのアプリです。

WhatsAppはLINEと同じメッセージアプリで、アメリカ・中南米で最も主流なアプリとして多くの人が使っており、私たち通訳もこのアプリを通して選手とやり取りをします。もし外国人と仲良くなりたい、今後通訳をやりたい、という方でまだ使ったことがないという方は一度チェックしてみてくださいね。ここで一つ、WhatsAppを通じてわかる文化の違いを紹介します。LINEで日本人の仕事仲間、友達とやりとりをするときにボイスメッセージを使うことは極まれだと思いますが、外国人選手は反対にボイスメッセージでやり取りをすることがほとんどです。理由はいろいろあるようですが、一番は簡単だから。運転しながら、仕事しながら、わざわざ目線をスマホに下ろさずに「ながら」でできることが一つ。そしてもう一つは人によっては書くことが苦手なため。日本では読み書きはできて当たり前ですが、中南米には識字率が100%ではない国も多く、読み書きが苦手な選手にとってはボイスメッセージの方が手軽で使いやすいのです。

私たちプロ野球通訳は、選手と信頼関係を築くことがとても重要です。長い文章を書いたり読んだりすることに慣れていないことを考慮し、私自身選手とはボイスメッセージで積極的にやり取りをするようにしていますが、こうした小さな気配りも選手との距離を縮めるのに大事な要素であったりします。アプリの使い方で文化の違いを実感し、選手との距離感も変わる、というのもおもしろいですよね。

今回は通訳として外国人と接するための必須アイテムについて紹介しました。日本人同士だとなかなか変な感じがしてボイスメッセージは使いにくいですが、外国人とのやりとりを想定して少し使い方に慣れておくと、いざ彼らとチャット交換となった時には役立つと思いますので使ったことがない方はチャレンジしてみてください。次回は外国人選手の来日の際の業務やスペイン語の地域差(アクセントの違い)についてお話しする予定です。それではまた次回お会いしましょう。

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