通訳料金は通訳の種類や、言語、通訳者のレベル、拘束時間、専門性の有無、などさまざまな要因で変動します。
高額になるイメージも強いため、「通訳を依頼したいが、費用がかかりすぎるのではないか」と依頼を躊躇してしまっている企業の担当者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際のところ、通訳の費用感は通訳者のレベルや通訳業者によって大きく異なります。
費用感を把握し、サービスを選べば、必要以上にコストをかけずに質の高い通訳サービスを利用することも可能です。
この記事では、通訳の料金体系や通訳の種類ごとの費用相場、費用に影響するポイントや費用を抑えるコツなどを35年以上通訳事業を行ってきた吉香(KIKKO)が分かりやすく解説します。
通訳の料金体系
通訳の依頼をする場合、次のような料金が主にかかってきます。
- 通訳者の時間給
- 諸経費(交通費・宿泊費・事前準備費・機材費)
- 延長料金、キャンセル料など
それぞれどのような料金がかかってくるのかを、くわしく見ていきましょう。
通訳者の時間給
通訳者の拘束時間に対して「1時間いくら」という形でかかる料金です。
ただし、ほとんどの通訳会社が1時間単位ではなく、半日(拘束時間4時間以内)もしくは1日(拘束時間8時間以内)という最低稼働時間を設けています。
たとえば、吉香(KIKKO)でも半日料金、全日料金で、通訳のご依頼を承っております。
通訳クラス | 通訳形式 | 全日料金 | 半日料金 |
---|---|---|---|
Aクラス | 同時通訳 ウィスパリング 逐次通訳 |
¥100,000〜 | ¥67,000〜 |
Bクラス | 逐次通訳 | ¥70,000〜 | ¥48,000〜 |
Cクラス | 逐次通訳 | ¥45,000〜 | ¥30,000〜 |
引用元:吉香「料金のご案内」
依頼する通訳業者や、通訳する言語によっても費用感は変わってくるので、「たとえばこんな場合、どのぐらいの予算で依頼ができるのか?」については、業者に問い合わせをしてみましょう。
吉香(KIKKO)でも「こんな場合、どれぐらいの費用感になるのか?」というお客様からのお問い合わせに対して、適切な通訳クラスと料金をご提案させていただいております。
交通費・宿泊費(実費)
通訳者を所定の場所に呼ぶ際には、通訳者が現地まで向かう往復の交通費が実費として時間給に加算されます。
海外など日帰りでは難しい遠方に通訳者を派遣する場合は、宿泊費といった費用も依頼者の負担です。
また、宿泊を伴う場合には通訳者へ支払う日当(手当)を定めている場合もあります。
たとえば、ある通訳会社Aでは、宿泊費を含め通訳者本人が負担する場合は日当25,000円(税込27,500円)/日、宿泊費を主催者負担なら日当10,000円(税込11,000円)/日、宿泊・3食すべて主催者負担の場合や日帰りの場合は日当5,000円(税込5,500円)/日といった基準を設けています。
吉香(KIKKO)の場合、通訳者を所定の場所に派遣するご依頼の場合、2,000名以上の所属通訳の中から派遣現場に近い通訳者をできる限り選定させていただいております。
また、オンラインでの逐次通訳、同時通訳なども行っているため、こういった交通費・宿泊費(実費)がかからないようなご提案も可能です。
事前準備費
通訳依頼の内容によっては事前準備のための費用が発生する場合があります。
通訳者は当日に備え、事前に渡された関連資料を読み込み専門用語を把握するなど入念な準備を行うのが基本です。
しかし、提供される資料が多かったり、会議が複数日にわたる場合や、内容が高度かつ専門的な場合、その準備に多くの時間がかかる場合には事前準備費が見積もりに加算されます。
たとえば、ある通訳会社Aでは、次のように事前準備費に関するルールを設けています。
- 会議が2日以上に及ぶケースでは1日分の通訳料相当を事前準備費として計上する
- 内容が極めて専門的な案件については、会議日数が1日でも事前準備費が必要になることがある
このように、事前準備に時間・労力が多くかかってしまう場合には、その分の費用が上乗せされる傾向にあります。
事前準備費がかかるかどうかは通訳会社によって異なります。
吉香では、事前準備費はかかりません。
機材費
同時通訳を依頼する場合、通訳機材のレンタル費用が別途発生する場合があります。
具体的には、同時通訳には次のような専用の機材が必要になります。
- 防音設備付きの通訳ブース
- 通訳者が発言を聞くためのヘッドフォン
- 訳出用マイク
- 参加者が通訳音声を聞くためのレシーバー
これらの機材一式を手配・設営する費用が通訳者の時間給とは別に必要になります。
通訳者の人数やイベントの規模などが大きくなればなるほど、複数ブースや多数のレシーバーが必要となり機材費が高くなっていきますが、社内会議など小規模な場合には簡易的なガイドシステム(送信機と受信機のみ)で代用でき、機材費を低額に抑えられる場合もあります。
また、吉香(KIKKO)では、オンライン会議ツールの活用により、専用機材を使わずPCやスマホ経由で通訳音声を提供する方法もご提案させていただいているため、「同時通訳=機材費が必ずかかる」という訳ではありません。
延長料金
通訳の実施中に予定時間を超過した場合、追加の延長料金(超過料金)が発生します。
通訳者は当初の見積もり時間内で業務契約をしているので、想定より長引いた場合には1時間あたりいくらという形で別料金がかかります。
延長料金の相場は、通訳者のクラスや通訳内容によって異なりますが、1時間あたり数千円~数万円程度です。
たとえば、吉香(KIKKO)の場合は、次のような延長料金を設定しております。
通訳クラス | 通訳形式 | 延長料金 |
---|---|---|
Aクラス | 同時通訳 ウィスパリング 逐次通訳 |
¥15,000〜/1時間 |
Bクラス | 逐次通訳 | ¥10,000〜/1時間 |
Cクラス | 逐次通訳 | ¥6,500〜/1時間 |
引用元:吉香「料金のご案内」
延長料金が発生する条件は依頼する通訳会社によって異なりますが、吉香(KIKKO)の場合は、契約時間を20分以上超える場合に1時間単位で追加料金がかかるといったルールになっています。
大体が全日料金・半日料金よりも延長料金の方が割高に設定されている場合が多いため、当日の進行が遅れる可能性がある場合には、余裕をもった時間で依頼をするか、延長発生時の料金体系について確認しておきましょう。
キャンセル料
通訳依頼をキャンセルする場合、キャンセルした時期によってキャンセル料が発生します。
一般的に、通訳者のスケジュール確保後(発注確定後)のキャンセルは有料となり、開催日が近いほど高額のキャンセル料がかかる仕組みです。
多くの通訳会社では、次のような段階的な料率を定めています。
- 開催前日・当日のキャンセルは100%(全額負担)
- 開催2~3日前で50%
- 4~7日前で30%
キャンセル料の起算日を営業日計算(土日祝を除く)と定めている通訳会社もあるので注意しましょう。
弊社、吉香(KIKKO)では、次のようなキャンセル料率となっています。
- 開催前日・当日:100%
- 開催2~3日前50%
- 開催4~7日前30%
キャンセル料の起算日は営業日ではなく、通常の日計算です。
また、日程変更についても、従来の日程をキャンセルして新規手配し直すという扱いになり、キャンセル料の対象になるので注意しましょう。
通訳の形態別の費用相場
通訳と言っても、次のようにさまざまな形式があります。
- 同時通訳
- ウィスパリング(ささやき通訳)
- 逐次通訳
- 電話通訳
- オンライン通訳
- アテンド通訳(エスコート通訳)
必要な通訳のスキルや、労力が異なるため料金相場にも大きな違いがあります。
通訳形式ごとに、一般的な費用相場の目安を見ていきましょう。
同時通訳の費用相場
同時通訳は通訳対処者の発言とほぼ同時に訳出ししていく高度な通訳方法です。
言語能力はもちろんのこと、集中力と瞬間的な機転を効かせる高度な判断能力が必要になります。
また、国際会議など大きな規模のイベントになればなるほど、複数の通訳者でチーム体制を組んだり、専用機材も多く必要になることから、通訳形式の中で最も高額になります。
料金相場は通訳者1名あたり1日で約10万~25万円程度が目安です。
国際会議など大規模なイベントでは訳漏れ防止や、通訳者の集中力維持のため通訳者2名~3名で交替するのが一般的なため、実際の費用はこの人数分が掛け算されます。
たとえば、通訳者2名体制であれば約20万~50万円程度/日、3名なら約30万~75万円程度が費用としてかかってきます。
さらに前述の通り、通訳機材のレンタル費や、海外など遠方の場合には交通費・宿泊費などの諸経費(実費)も別途かかります。
もちろん、通訳者のレベルや人数、諸経費の有無などによって費用感は変わりますが、同時通訳を1日依頼する場合の総費用は数十万~百数十万円程度かかると想定しておきましょう。
吉香(KIKKO)の場合、次表のように同時通訳は半日67,000円〜、全日100,000円〜ご依頼が可能です。
通訳形式 | 全日料金 | 半日料金 | 延長料金 |
---|---|---|---|
同時通訳 | ¥100,000〜 | ¥67,000〜 | ¥15,000〜/1時間 |
引用元:吉香「料金のご案内」
オンライン会議システムによる同時通訳のご提案や、お客様の通訳シーンに合わせた適切なレベル、人数の通訳者の手配などにより、お客様の予算に合わせた最適なご提案をさせていただいております。
ウィスパリング通訳の費用相場
ウィスパリング通訳(ささやき通訳)は、少人数(通常1~2名)の聞き手に対し、通訳者が隣で囁くように同時通訳を行う手法です。
同時通訳の一種ではありますが、専用機材を使わずに済むため機材費が不要で、少人数の対応に特化した形式の通訳方法です。
機材コストがかからず、かつ通訳者1名で対応することが多いため、トータルの費用相場は同時通訳よりも割安になる傾向がありますが、「同時通訳ができるレベルの通訳者を拘束する」という点で同時通訳と同じ人件費がかかるため、1日で約10万~25万円程度が目安です。
そのためトータルの費用相場も同時通訳と同程度か、割安となる場合が多くなります。
一般的な相場は通訳者1名あたり1日で約10万~25万円程度が目安です。
ウィスパリングは基本的に通訳者1名で対応することが多いですが、長時間に及ぶ場合は同時通訳と同様に複数名で交替するケースもあります。
したがって、通訳者が1名で足りない場合は人数分の費用がかかってきます。
吉香(KIKKO)の場合、次表のように同時通訳は半日67,000円〜、全日100,000円〜ご依頼が可能です。
通訳形式 | 全日料金 | 半日料金 | 延長料金 |
---|---|---|---|
ウィスパリング | ¥100,000〜 | ¥67,000〜 | ¥15,000〜/1時間 |
引用元:吉香「料金のご案内」
逐次通訳の費用相場
逐次通訳は、通訳対象者が適宜区切りを入れながら話し、その都度発言を訳していく通訳方法です。
同時通訳に比べて時間はかかりますが、その分正確で丁寧な通訳が可能であり、少人数の会議や商談、インタビューなど幅広い場面で用いられます。
費用相場は同時通訳より安価ですが、専門性の有無など、依頼内容よっては同時通訳と同額になるケースもあります。
通訳者1名あたりの料金相場は1日で約5万~15万円程度が目安です。
たとえば、2~3時間程度の社内会議に逐次通訳者を1名呼ぶ場合、通訳者報酬が5万円前後で収まることも少なくありません。
同時通訳と異なり逐次通訳は1名でも対応可能なケースが多く(※長時間にわたる場合や専門性が高い場合は2名体制を組むこともあります)、通訳機材も基本不要です。
そのためトータルの通訳費用は同時通訳の半分以下に抑えられることもあります。
内容が専門的だったり、逐次でも高度なスキルを要する場合には、通訳者のクラス次第で1日で10万円以上の費用がかかることもあり得ます。
逐次通訳はケースバイケースで費用幅が大きいため、「簡易なやり取りなのか、専門的で正確さ重視なのか」など条件を業者に詳しく伝え、適切な人選と見積もりをしてもらうことが大切です。
吉香では、お客様に最適な通訳者のレベルや人数を見極め、約4.5万円〜、逐次通訳のご依頼を承っております。
通訳クラス | 通訳形式 | 全日料金 | 半日料金 | 延長料金 |
---|---|---|---|---|
逐次通訳 | Aクラス | ¥100,000〜 | ¥67,000〜 | ¥15,000〜/1時間 |
Bクラス | ¥70,000〜 | ¥48,000〜 | ¥10,000〜/1時間 | |
Cクラス | ¥45,000〜 | ¥30,000〜 | ¥6,500〜/1時間 |
引用元:吉香「料金のご案内」
電話・オンライン通訳の費用相場
電話通訳・オンライン通訳は、現地に通訳者を派遣する通訳に比べて低コストで利用できる点が魅力です。
通訳者の拘束時間による人件費は変わりませんが、通訳者を現地に派遣する必要がないため交通費や宿泊費、日当、通訳機材などの諸経費(実費)が一切かからない分、安く利用が可能です。
従量課金制(1分いくら)、または30分など短時間から利用可能など、会社によって最低利用時間が異なります。
ただし、電話・オンライン通訳であっても、高度な専門通訳を長時間依頼する場合は、それ相応の料金になります。
アテンド通訳の費用相場
アテンド通訳(エスコート通訳)は、通訳者がお客様に随行して通訳する方法です。
海外からのVIPや視察団の案内、観光ガイドを兼ねた通訳、展示会でのブースアテンド、空港送迎時の対応などがアテンド通訳の典型例で、言語スキルだけではなく、高度なビジネスマナーや対象者への気遣いなどのコミュニケーションスキルが通訳者に求められます。
費用相場は、通訳というよりバイリンガル人材の同行に近い位置づけのため、比較的低めに設定されています。
国内での一般的なアテンド通訳の費用相場は、1日あたり約3万円~7万円程度が目安です。
たとえば、観光ガイドを兼ねたアテンド通訳では、某通訳会社A社が1日45,000円~(税別)、某通訳会社B社でも実務1年以上の通訳者による受付・送迎アテンド等の料金は1日50,000円〜(税別)に設定されています。
ただし、海外からのVIPのアテンド通訳など、高度な通訳力とコミュニケーション力を求められる場合には、グレードの高い通訳者が必要なため、費用も通常のアテンド通訳の相場より高くなる傾向があります。
依頼時に「どのような場に同行し何を通訳してほしいのか」を具体的に伝え、適切なレベルの通訳者を手配してもらうことが費用を抑える重要なポイントです。
通訳の費用に影響する主な要素
通訳の依頼にかかる費用は一律ではなく、次のようなさまざまな要因によって見積もり金額が増減します。
- 通訳者の拘束時間
- 依頼する時間帯
- 通訳者のレベル(クラス)
- 求められる専門性
- 諸経費(実費)の有無
それぞれ、どのように費用に影響するのか見ていきましょう。
通訳者の拘束時間
通訳の依頼にかかる費用に大きく影響するのが通訳者の拘束時間です。
前述の通り、通訳会社では半日(4時間)または1日(8時間)を最低単位として料金設定している場合がほとんどで、拘束時間が長くなるほど料金も高くなります。
また、通訳者の移動時間も拘束時間に含まれる点に注意しましょう。
見積もりの際には「現地までの往復移動を含めた通訳者の拘束時間」で相談すると、後から延長料金などがかかるリスクを減らせます。
たとえば、吉香では、往復路(現地までの移動時間+現場から帰宅までの移動時間)、また現地内での移動時間(通訳現場と通訳現場の移動など)が通訳者の拘束時間に含まれます。
あくまで目安ですが、業務時間の50%〜70%分が移動時間として費用として加算されると考えておきましょう。
通訳対応する時間帯
通訳対応する時間帯も費用に影響します。
一般的な平日日中(9時~18時頃)の業務であれば通常料金、早朝や深夜に通訳者を拘束する場合は、割増料金となるケースがほとんどです。
たとえば、某通訳会社A社では、「業務が早朝・深夜に及ぶ場合、割増料金を承ることがあります」と料金表に明記しています。
また、吉香(KIKKO)でも22:00~7:00の作業に対しては料金25%増と定めています。
早朝や夜遅くに通訳が必要な場合は、見積もり段階で時間帯を伝えて割増の有無と料率を確認するとよいでしょう。
なお、昼間でも正午をまたぐ時間帯の依頼には注意が必要です。通訳会社によっては「12:00~13:00を含む場合は半日でも1日料金扱い」とするところもあります。
たとえば、午前11時~午後2時の3時間会議の通訳の場合、本来半日の依頼で済みますが、昼休みを挟むため1日料金になってしまう、といったケースです。
吉香でも昼休みを挟む場合には、1日扱いになります。
通訳会社によって通訳対応する時間帯の考え方が違うため、依頼する会社がどのような料金設定をしているのかを必ず事前にチェックしましょう。
通訳者のレベル
通訳者には各社それぞれランク(クラス、グレード)の設定があり、通訳者のレベル(熟練度や実績)によって料金も異なります。
当然ながら経験豊富でスキルの高い通訳者ほど料金も高額です。
たとえば、吉香(KIKKO)の場合、通訳者を独自の基準で上からA・B・Cのグレードに分類しており、それぞれ次のような料金設定になっています。
通訳クラス | 通訳形式 | 全日料金 | 半日料金 |
---|---|---|---|
Aクラス | 同時通訳 ウィスパリング 逐次通訳 |
¥100,000〜 | ¥67,000〜 |
Bクラス | 逐次通訳 | ¥70,000〜 | ¥48,000〜 |
Cクラス | 逐次通訳 | ¥45,000〜 | ¥30,000〜 |
引用元:吉香「料金のご案内」
同じ1日依頼でも、レベルの高いの通訳者と新人クラスとで費用が2倍~3倍違います。
クラスの違いは、主に通訳の品質と対応可能な通訳内容の違いです。
たとえば、吉香では次のような区分けになっています。
通訳クラス | 区分け |
---|---|
Aクラス | ・専門分野を持ち、その分野の知識が豊富 ・同時通訳・ウィスパリング・逐次通訳に対応 ・翻訳の場合、高度の専門知識を必要とする原稿に対応できる ・会議・セミナー・放送通訳など対応可能 |
Bクラス | ・際立った専門分野を持たないが、いくつかの分野に関してはある程度の専門知識を持つ ・逐次通訳に対応 ・翻訳の場合、高度の専門知識を必要としない原稿に対応 ・街録インタビュー、観光ガイドなど対応可能 |
Cクラス | ・得意とする専門分野は持たないが、一般的な材料に対応できる ・逐次通訳に対応 ・翻訳の場合、平易な内容の原稿に対応できる ・受付レベル |
必要以上にハイクラスの通訳者を手配すれば品質は担保されますが費用は割高になります。
一方、内容に対して低すぎるランクでは通訳がうまくこなせず、失敗につながりかねません。
重要なのは、「自分の依頼内容にはどのレベルの通訳者が適切か」を見極めることです。
適切なクラスを選定することで料金を抑えた依頼が可能になります。
通訳会社に相談すれば、案件内容に見合った通訳者のクラスを提案してくれるため、かけられる予算と求める通訳品質を明確に伝えることが重要です。
通訳者に求められる専門性
通訳内容の専門性の高さも費用を左右する大きな要素です。
法律、医療、IT、金融、学術分野など専門知識を要する通訳では、その分野に精通した通訳者でなければ対応が難しく、結果として限られた通訳者に依頼が集中するため、料金も高くなるのです。
吉香でもこういった専門性の必要な通訳者の費用はAクラスと一番高額になります。
通訳クラス | 通訳を形式 | 全日料金 | 半日料金 |
---|---|---|---|
Aクラス | 同時通訳 ウィスパリング 逐次通訳 |
¥100,000〜 | ¥67,000〜 |
Bクラス | 逐次通訳 | ¥70,000〜 | ¥48,000〜 |
Cクラス | 逐次通訳 | ¥45,000〜 | ¥30,000〜 |
引用元:吉香「料金のご案内」
また、専門性が高い内容ほど、通訳者の事前準備にも時間と労力がかかります。
そのため、専門性が高ければ高いほど通訳者に依頼する費用が上がる傾向があります。
必要な専門性に見合った適切な通訳者を選ぶことが重要になりますが、その際には相応のコスト増が避けられない点を念頭に置きましょう。
どうしても予算が厳しい場合は、専門知識が求められる部分とそうでない部分で通訳方法を分ける(たとえば、専門講演は逐次通訳にして確実性を上げ、それ以外は簡易な対応にするなど)など、工夫次第で費用調整を行いましょう。
諸経費(実費)の有無
通訳者の拘束時間に対してかかる人件費と諸経費(実費)の合計が通訳にかかるトータルの費用になります。
そのため、諸経費(実費)が必要かどうかによって通訳にかかるトータルの費用が変わってきます。
たとえば、地方に通訳者を派遣する場合には、移動にかかる交通費は諸経費(実費)としてかかりますが、オンライン通訳に切り替えた場合、それがかかりません。
また、同時通訳などの場合には通訳機材のレンタル費用などが諸経費(実費)としてかかってきますが、こちらも逐次通訳に切り替えたり、オンライン通訳に切り替えたりすることで、不要になります。
もちろん地方に通訳者を派遣する場合、交通費ができる限りかからないように派遣する地方に近い場所に住んでいる通訳者が優先的に選ばれますが、移動が発生する以上諸経費(実費)はいくらかかかってきます。
通訳の費用を抑えるコツ
通訳の依頼にかかる費用はさまざまな要因で変動しますが、工夫次第で費用を圧縮することも可能です。
最後に、通訳の依頼にかかる費用をできるだけ抑えるために押さえておきたいポイントをいくつか紹介します。
依頼内容を明確にする
通訳会社への依頼内容を次のように、できるだけ具体的かつ明確に伝えることが重要です。
- 通訳の種類(同時・逐次など)
- 日時・場所
- 対象言語
- 参加人数
- 会議やイベントの目的・内容
- 専門分野の有無
- 必要とする通訳者のレベル感
これらを、可能な限り詳細に伝えましょう。
依頼内容が曖昧だと、念のため、高めのランクの通訳者や、多めの人数で見積もられてしまう可能性があります。
逆に詳細な情報を共有すれば、内容に合った最適な提案が可能です。
必要十分なレベルの通訳者、かつ最小限の人数、拘束時間で依頼できれば、結果的に過剰クオリティによる無駄な費用を省くことができ、通訳のトータル費用の圧縮につながります。
事前に資料を提供する
通訳者は事前にもらった次のような資料を読み込んで準備をしますが、その際に資料が充実していればいるほど当日の通訳がスムーズにいきやすく、結果として時間超過や追加準備費などがかかるリスクを最小限にすることができます。
- 会議のアジェンダ
- スピーチ原稿
- プレゼン資料
- 参加者プロフィール
- 過去の議事録
- 業界特有の用語集
逆に、資料提供がギリギリになったり、資料が全く送られてこないような状態では、通訳者の負担が増し、時間超過や、緊急対応費の発生につながる可能性もあるため注意が必要です。
求める通訳者のレベルを見極める
依頼する通訳者のレベルによって料金が大きく異なります。
費用を抑えるには、自社の案件に本当に必要なレベルを見極めて、それに合った通訳者を選ぶことが重要です。
たとえば「社内会議に逐次通訳が欲しいが、専門性はそれほど高くない」という場合、最高クラスの通訳者ではなく中堅レベルの通訳者でも十分対応可能かもしれません。
このように、適切なレベルの通訳者に依頼することで、その分、費用を抑えた依頼が可能になります。
「この依頼であればこのぐらいの通訳者で十分対応できるだろう」という判断は、自社で行う必要はなく、経験豊富な通訳会社であれば、依頼内容を具体的に伝えることで適切なレベルの通訳者を提案してもらえます。
闇雲に「一番上手い人を」「レベルの高い通訳者を」と頼むのではなく、各依頼に合った適切な通訳者を通訳会社と一緒に見極めることが費用圧縮にもつながるのです。
対面ではなくオンライン通訳を活用する
通訳を対面で行う必要性が高くないのであれば、Zoomなどのオンライン会議システムを活用したオンライン通訳の活用も検討しましょう。
オンライン通訳に切り替えることで、通訳者の交通費・宿泊費・日当、機材費などの諸経費(実費)が不要になります。
これにより、大幅な費用圧縮が可能です。
たとえば、海外などに通訳者を派遣する場合などは、オンライン通訳に切り替えるだけで1名につき十数万円〜数十万円ほどの費用圧縮につながります。
このように、諸経費(実費)のかからないオンライン通訳で対応ができないか、はぜひ検討すべきです。
吉香(KIKKO)では、対面だけの選択肢ではなく、副音声機能を備えているZOOMでのオンライン通訳を積極的に提案させていただいており、お客様からも通訳費用を削減できると好評です。
拘束時間を最小限にする工夫をする
通訳者の拘束時間を減らす工夫も、通訳費用の圧縮につながります。
通訳をお願いする会議やイベントの日程を調整できるなら、午前のみ、または午後のみの半日で完結するよう工夫したり、連続する複数の通訳案件を同じ日にまとめる(同じ通訳者が1日で対応できるようにする)などができないか検討しましょう。
1日分を半日に減らせれば、単純に費用は半額近くになります。
通訳会社によっては12時〜13時をまたぐと1日料金になってしまうケースもあるため、昼休みを挟まない時間帯に収めることも拘束時間を最小限にする工夫の一つです。
また、通訳者の待機時間を減らすこともポイントです。
会議と会議の合間に長い休憩や空き時間があると、その間も拘束は続くため同じ料金になります。
できるだけ通訳が必要なプログラムを連続させ、不要な待ち時間を作らない進行にすることが重要です。
吉香(KIKKO)では、通訳者の拘束時間を減らす工夫などのご提案もさせていただいております。
複数社で相見積もりを取る
通訳の料金は会社ごとに異なります。
そのため、複数の通訳会社から見積もりを取る(相見積もり)も通訳費用を圧縮するための有効な手段です。
他社の提示額を参考に交渉できる場合もありますし、何より相場感を把握する上で役立ちます。
実際に、通訳業界でも他の業界と同様に、複数業者から一括で見積もりを取れるプラットフォームが存在します。
そういったサービスや比較サイトを活用すれば、一社ずつ問い合わせる手間を省きつつ相見積もりが可能です。
相見積もりを行う際は、各社に同じ条件・要望を伝えることがポイント。
条件が違うと価格を単純比較できないため、フォーマットを揃えて依頼しましょう。
また、最安値だけでなく、各社の提案内容(通訳者のクラスやサポート体制など)も比較検討することが重要です。
中には極端に安い代わりに新人通訳者しか出せない、といったケースもあります。
費用と品質のバランスを見極める材料として相見積もりを活用し、納得のいく依頼先を選定しましょう。
早朝や深夜の時間帯を避ける
通訳を依頼する時間帯を通常営業時間内に収めることで、割増料金を回避できます。
多くの通訳会社では深夜・早朝帯に追加料金を設定しているため、可能であれば通訳業務は朝9時~18時頃までに完結するよう調整しましょう。
たとえば、海外との電話会議であっても、時差の範囲内でなるべく日本の昼間にスケジュールするなどの調整が重要です。
どうしても夜間にかかってしまう場合は、割増の基準時刻ギリギリを避けるだけでも費用は違ってきます。
たとえば、吉香(KIKKO)の場合は、22時〜7時までが割増料金の対象になります。
その場合、「22時以降が深夜扱いなのであれば、21:30までに終わるようにする」「朝はなるべく7時以降に開始する」といった調整をすることで、25%の割増料金を回避することが可能です。
それだけで25%分の通訳費用が発生しなくて済むなら、調整する価値はあるでしょう。
もちろん案件によっては時間帯を選べないこともありますが、企画段階で融通が利くようなら割増時間帯を避ける日程調整を心がけるとコストダウンにつながります。
通訳の費用例
実際に通訳にかかる費用がどれぐらいなのか、イメージしやすいように、吉香(KIKKO)で実際に行った通訳の費用例を3つほど参考にご紹介します。
例1:中小企業の商談の逐次通訳
東京都にある中小企業が海外企業と行う2時間程度の商談(言語:日英、専門性:一般ビジネス)に、逐次通訳者1名を手配する場合にかかった費用は次の通りです。
かかった費用 | 金額 |
---|---|
通訳の人件費 | Bクラス半日:48,000円+税 Aクラス半日:67,000円+税 |
企業までの交通費(往復) | 実費(※吉香では都区内であれば交通費はサービスで無料) |
商談の専門性の高さによっても通訳者ランクは変わりますが、一般的な商談であれば吉香(KIKKO)でいうBクラスでも十分対応可能です。
もちろん顧客要望により「より信頼できる通訳を」ということでAクラスの通訳者の手配も可能です。
吉香の場合、都区内であれば交通費はサービスで無料、宿泊は不要となります。
したがって、通訳の人件費でBクラスの場合は48,000円(税抜)、Aクラスの場合は67,000円(税抜)がトータルでかかる費用になります。
※ZOOMの副音声機能を活用したオンライン通訳で問題ないようであれば、交通費などの実費はかからず、48,000円(税抜)がトータルでかかる費用になり、少し安く依頼が可能です。
例2:国際会議の同時通訳
国際的な会議(会議時間は9:00~17:00:休憩含む実働7時間、聴衆100名規模、専門分野は医学系)において、英日2言語の同時通訳を派遣する場合にかかった費用は次の通りです。
かかった費用 | 金額 |
---|---|
通訳の人件費(Aクラス全日×3名) | 300,000円+税 |
同時通訳機材レンタル費 | 200,000円〜300,000円程度 |
会議会場までの交通費(往復) | 実費(※吉香では都区内であれば交通費はサービスで無料) |
吉香の場合、国際会議9:00〜17:00の同時通訳の場合は、最低3名体制となり、同時通訳者を3名を派遣。
医学系の専門性を持つハイレベルな同時通訳者が必要になるため、吉香(KIKKO)のAクラスの通訳者が3名必要になります。
そのため、通訳者の人件費は100,000円×3=300,000円+税。
加えて同時通訳機材レンタル費が発生します。
100名規模、1会場・2言語の場合、通訳ブース1台(または簡易ブース2台)、送受信機器一式のレンタルと技術者手配が必要です。
機材費は概算で20万円~30万円程度を見込んでおいた方がよいでしょう。
また会議会場までの交通費(往復)が3名分実費でかかってきます。
トータルでかかる費用は500,000円〜600,000円+実費程度です。
※ZOOMの副音声機能を活用したオンライン通訳で問題ないようであれば、レンタル機材も不要で、交通費などの実費はかからず、単純に通訳者の人件費である200,000円(税抜)がトータルでかかる費用になり、安く依頼が可能です。
例3:海外VIPのアテンド通訳
海外からのVIP(要人)の来訪時に、都内観光と会食に同行して通訳・案内を行うアテンド通訳(時間は10:00~18:00、言語は英日2言語、内容は観光案内および移動・会話時の簡易通訳)を行う場合にかかった費用は次の通りです。
かかった費用 | 金額 |
---|---|
通訳の人件費(Aクラス全日) | 100,000円+税 |
会議会場までの交通費(往復) | 実費(※吉香では都区内であれば交通費はサービスで無料) |
海外VIPのアテンド通訳の場合、吉香(KIKKO)でいうAランクの通訳者が対応するため、人件費は100,000円+税となります。
交通費は通訳者の自宅〜集合場所まで、またVIPと動向して移動する際の経費(タクシー代など)の実費がかかります。
吉香(KIKKO)では所属する2,000名の通訳者の中から自宅から集合場所までの距離が近い通訳者を優先的にご提案させていただいているので、交通費は都区内であれば無料、また、一般的な日中の観光案内であれば宿泊費は不要です。
今回は都内の派遣であったため、交通費は無料となります。
アテンド通訳の場合、単なる観光ガイドレベルで済むのか、それとも礼儀作法や専門知識も備えた通訳が求められるのかで適任者が変わります。
依頼時に海外VIPのプロフィールや同行中の予定を詳しく伝え、状況に見合った通訳者を選んでもらいましょう。
通訳費用を抑えたいなら!吉香におまかせ!
通訳にかかる費用は、「どこでどのような言語の通訳を、どの通訳会社に依頼するのか」「どれぐらいのレベルの通訳が必要なのか」によって変わってきます。
通訳費用を抑えるために大切なのは「適切なレベルの通訳者と通訳方法を選ぶこと」です。
「念の為高いクラスの通訳を」「念の為に複数人」などと考えると通訳費用はどこまででも膨れ上がっていってしまいます。
吉香(KIKKO)は、35年以上、お客様の通訳依頼に対して、「適切なレベルの通訳者と通訳方法」をご提案し、通訳者を手配してきました。
海外の現地で開かれる大規模な国際会議や、海外VIPが多数訪れるサミットなど通訳者数十名以上のチーミングや手配から、中小企業の商談などの通訳など小規模なものまで、あらゆるシーンでの通訳手配経験がございます。
また、近年では副音声機能がついたZOOMを使った同時通訳なども行っており、レンタル機材や交通費などの実費が不要で依頼ができるなど、お客様のご要望やご予算に合わせた提案を行っております。
通訳にかかる費用を少しでも抑えたいとお考えなら、高品質かつリーズナブルなサービスを提供する吉香(KIKKO)にぜひご相談ください。
吉香(KIKKO)は長年の実績にもとづき独自の基準で通訳者をクラス分けし、お客様の業務内容とご予算に応じて最適な通訳者のクラス・必要人数、さらには必要機材までご提案しています。
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